1 <夢を実現するために自己成長できる人間の育成>

与えられた問題をこなす力だけではなく、自分で考え、決断し、責任をとる
といった自立した考え方を生徒一人一人が持てるような、質の高い授業を心がける。


 需要と供給。
 あらゆる業種においてこの二者に大分することができると思いますが
 どのような仕事においても、より充実した業務を行うためには
 需要(消費者・利用者)側の要求が重要となります。

 これは教育の場も例外ではありません。

 では生徒と先生、授業においての主役は一体どちらでしょう?

 もちろん生徒1人1人が主役でなければなりません。
 先生はあくまで生徒をサポートする存在なのです。

 ところが多くの授業風景をのぞいてみると
 先生が1人で授業を進めているということが決して少なくありません。

 そのような授業になってしまう原因はさまざまありますが
 私達はこの目標遂行のためにまず
 生徒が自分の意見を主張できような環境作りに専念しています。

 「自分の意見を主張する」
 これはなかなか難しいことです。
 そのためには少なくとも3つのことを理解し実行しなくてはならないからです。

①「自分の意見を持つ」

 これは「夢や目標を持つ」ということとほとんど同義になると思います。
 そして「自分はこうしたい」という明確な意志を持つことは全ての原動力になります。

②「自分の意思を伝える」

 人に自分の考えを伝えるということは、大変重要なことです。
 と同時にたいへん難しいことでもあります。

③「生ずる責任を果たす」

 自分の主張だけを、ただいたずらに叫んでいても誰も聞いてはくれません。
 意見を主張するためには、かならずそれなりの責任が生じるものです。
 やらなくてはいけないこと、やってはいけないこと
 それらを自分で判断し実行していけば、必ず次のステップが見えてきます。



 ここでは定期テストを例にとった具体的な説明をあげます。

①「自分の意見を持つ」→「目標を決める」

 例えば「今回のテストでは興味のある社会を更に伸ばしたい」とか
 「前回あまり出来の良くなかった数学を今回は克服したい」とか
   あるいは「学校を休んでしまって少し理解が遅れている英語に力を入れたい」等
 できるだけ理由も明確にして、考える必要があります。

*テストや勉強が好きという生徒は希でしょう。
 しかしテストは自分のために行っているものだと理解したいものです。
 嫌々やって何気なくやり過ごすのではなく、目的をもって積極的に活用する
 そういった考えと、習慣を身につけて貰いたいのです。

②「自分の意思を伝える」→「自分の要求を先生に伝える」

 わからない問題はその都度授業中に聞く必要がありますし
 繰り返し解くために、問題が必要な場合もあるでしょうし
 またテスト前に補習を行ってもらいたい時もあることでしょう。

 先に述べた通り私達はあくまで生徒をサポートする存在です。
 ですから生徒がまずどうしたいのか、判断する必要があります。

 しかし、入塾してすぐに積極的に発言できる生徒もいれば
 しばらくしてもなかなか自分から発言できない生徒もいます。
 恥ずかしさからか、高学年になるにつれて発言できなくなる生徒もいますし
 また、学年・クラスによって授業雰囲気がガラリと違うのも事実です。

③「生ずる責任を果たす」→「そのために自分がすべきことを考えて実行する」

 わからない問題を聞くにしろ、プリントをコピーしてもらうにしろ
 あるいは補習をお願いするにしても、必ず必要なことがあります。
 それは先生と生徒との信頼関係です。

 授業も聞かず、宿題も度々やってこない生徒がテスト前になって突然
 先のようなお願いをしてきても、私はまず応じないでしょう。

 わからない問題を質問するのであれば、一度自分で解いてみて
 どこがわからないのか見つけてくる必要があるでしょう。
 問題を見ただけで「わからない」と決めつけて、全て空白であるならば
 それは責任を果たしたとはいえません。

 他の要求についても同じことがいえます。
 やる気のある生徒には私達も応えます。
 そうでなければ最低限度のことしかしません。
 これを「ひいき」と呼ぶならば私達はひいきしていると言えます。
 ただしそれは本人のやる気に応じてという意味においてです。

 自分はすべきことをせずに他人には一方的に要求する。
 社会に出れば通用しないことは明白なのですが
 実際にはこれに応えてしまう先生方も多いのではないでしょうか。
 しかし社会に出る前に、この思い違いを正す必要があると思うのです。

 生徒一人一人が自分の責任を理解しなければ授業は成り立ちません。
 怒られてばかりの授業ではつまらないし、また発言しづらい
 ぎすぎすとした雰囲気になってしまいます。
 気持ちよく授業を進めるためには、お互いにすべきことがあるのです。
 生徒もそれを理解し、実行していかなければなりません。



 以上定期テストを例にあげましたが、もちろんこれは塾の中だけではなく
 生涯を通して身に着けて欲しい大変重要なことだと思います。

 本当の意味で理解し実践できるようになれば、塾は必要なくなるでしょう。
 しかし現実には実践できる人は稀かもしれません。
 ただ少なくとも塾を卒業する生徒には、理解して欲しいことなのです。


 夢を実現するために自己成長できる人間の育成
 そのためには生徒が自分の意見を主張できような環境作りが必要なのです。

 しかし授業の雰囲気を変えるということは本当に難しいことです。
 1つ1つの授業を大事にして、少しずつ改善していかなければなりません。
 以下に、私達がすべきことを具体的にいくつかあげてみようと思います。

 まずなにより私達教師側の人間が自己解放する必要があるでしょう。
 と同時に生徒個人個人の考えを受け入れることも重要です。
 殻に閉じこもって、黙々と授業を進めていては授業雰囲気の改善は望めません。

 また私達自身が謙虚に勉強をすることも絶対に不可欠です。
 私たちが貪欲に成長することを放棄すれば、生徒も皆信頼しないでしょう。
 熱意があり、エネルギーのある人には、人を惹きつける力があると思います。
 勉強とは、本来そこに発見があり驚きがあり、感動を覚えるもののはずです。
 そのような授業を常に心掛け、実践する必要があるのです。

 夢や趣味について楽しそうに語ることも必要でしょう。
 自由や権利が当然のようにあり、欲しいものも何でも簡単に手に入る
 これは決して悪いことではありません。
 しかし自分は何をしたいのかわからないという生徒が多いのは
 この「豊かさ」が原因の1つであることは間違いないでしょう。
 自己成長は「自分の意見」(=夢)がなければ何も始まりません。
 そのためにも身近な人間が夢を語る必要があるのです。
 例えどんなに便利で豊かな社会になろうとも
 全ての楽しみの享受できる人間は存在しないのですから。

 そして最後に、生徒1人1人に対して、真摯な姿勢で臨まなければなりません。

 つまり教師自身が自己実現できる人間でなければならないと思います。
 このような意味では教師というのはつくづく人間に関する専門職だと思います。
 またそうでなければならないはずです。





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