方丈便り 第6号 中学3年生 04・05・15(土) 発行者:橋本
「面白い本教えてください」
私が自分で文庫本を読みだしたのは、おそらく小学校4年生頃だったと思う。
「ズッコケ三人組」や「僕らの七日間戦争」といったシリーズものから読みだしだ。
「本をたくさん読みなさい。」
そう言われても、今まで本を読む習慣がなかった人にとっては難しい。
そして、中には私にこう尋ねてくる人もいる。
「先生、面白い本教えてください。」
気持ちはわからなくはないが、この質問、要望にはこたえられない。
意地悪しているわけではなく、純粋に応えることができないのだ。
・今まで、どんな本を読んで、どんな感想をもったのか。
・どういう話(ジャンル)が好きなのか。
言うまでもなく、「面白い」という感覚は人それぞれだ。
だから少なくともこの段階までは自分で試してもらわないと、他人が理解できるはずがない。
「私の好きなこと何ですか?」
そういわれたら、君たちだってキョトンとしてしまうだろう。
では、どうやって本を選べばいいか。
まずは、「面白い本を探す」という考えを捨てることだ。
とりあえず、学校の図書室や、町の図書館に足を運んで、
タイトルでも表紙でも、パッと目に飛び込んできたものを読んでみよう。
面白かったら、ラッキー。つまらなかったら?また他の本をあたろう。
面白い本と巡りあえたら、次も同じジャンルの本を読んでみるといいだろう。
たまたまその本が面白かったのか、あるいはそのジャンルが合っているかわかるはずだ。
そういう意味で「シリーズもの」はもってこいだ。
「面白い本」というのはおそらく「今の自分に合う本」だろう。
逆にいえば、本を読むことで、「自分」のことがだんだんわかってくるはずだ。
たくさん失敗しよう。面白い本だけ読んでいても、自分を理解することはできない。
少しずつ自分がわかってくれば、面白い本を探すのは簡単だ。
最後に、本を読む習慣を身に着けるとっておきの方法を紹介しよう。
それは面白かった本を友達に紹介して、読んでもらうことだ。
そうすれば、その友達も、面白かった本を君に紹介するようになるだろう。
自分の周りに「環境」を作ってしまえば、どんなことも自然に習慣になる。
すぐに答えや結果を求めようとするのは人間の悪い癖だ。
人に聞く前に、できるところまで自分で創意工夫してやってみる。苦労してみる。
それは礼儀でもあり、これからの自分のためでもある。