方丈便り 第7号  中学3年生 04・05・29(土) 発行者:橋本

 

 十年経てば笑い話

 

「こんなに苦しいならいっそ死んでしまいたい。」

 

君達はそうやって思いつめた経験があるだろうか。

 

学校に限らず、人と接する以上、誰もが多かれ少なかれ、対人的な悩みを持っている。

実際私がうけるほとんどの相談は、人間関係の問題であるし、

それ以外の話も、多くの場合その根底に対人的な問題がある。

 

私は幼い頃からひどく八方美人で、特定のグループだけに留まるようなことがなかった。

「自分とはどうしても合わない人間と、必要以上に無理に合わせる必要はない。」

今では、そんな風に思うこともあるが、当時の私はひたすら理想主義者だったので、

「皆に好かれたい」という想いが強かったのだと思う。

 

そのせいもあってか小・中学校では、集団でちょっかいを出されることが度々あった。

しかし、私は元来前向きな性格でもあった(手前味噌ながら)ので、「ガキだな、こいつら。」

と自分の中で一蹴してしまい、それほど気にすることはなかった。

 

そんな私も一度だけ、本気で死を意識したことがある。

ここで詳しく書くことはしないが、家族、友人、恋人、大学、バイト等、自分を取り巻く

あらゆる環境で、問題やショッキングなことが重なり、自暴自棄になってしまったのだ。

 

<<どんなに辛いことでも、十年経てばきっと笑いとばせるようになるよ。>>

<<きっと悩みが深刻であればある程、「なんであんなに悩んでたんだろう。」って。>>

 

 

そんな話もできぬまま、数年前、私の高校の同級生が自ら命を絶った。

当時私の部屋には、彼女に借りたギターがひっそりと佇んでいた。

 

 

 

昨日、5月28日は宮城先生の三回忌だった。

私もお墓に行き、ご家族の方と一緒にお線香をあげてきた。

 

私は小・中・高と、人の死というものに縁遠かった。

だから、あまり「死」ということに対して、考えることがなかった。

「生」きていることが、当たり前で、人はそう簡単には死なないものだとさえ思っていた。

 

それが、ここ数年の間に母を初め、祖父、恩師、友人と、不幸が相次いだ。

人はたやすく死んでしまうのだと実感した。

 

そのはかない「生」を、いかに生きるか

 

少し重い話ではあるが

たまに、考える機会を持つのもいいだろう。





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