方丈便り 第11号  中学3年生 04・07・10(土) 発行者:橋本

 

 「無駄になる努力はない」 

 

これは「赤バット」「弾丸ライナー」「打撃の神様」などと呼ばれた

川上哲治さん(65年野球殿堂入り。背番号「16」は永久欠番)の言葉だ。

 

努力が「無駄になった」とか「水の泡だ」とかいう言葉を耳にするが

これは「直接的な結果がでなかった」という意味でしかない。

 

確かに、努力したからといって必ず結果が出るとは限らない。

むしろその反対のことの方が多いかもしれない。

「努力が報われないかもしれない。」

そう思った人間は努力することを放棄する。

 

しかしこの言葉はなんとも爽快だ。

直接的な結果のためだけに努力するのではなく

努力すること、それ自体が自分の血肉(結果)となるのだ。

 

 

私は中・高と部活でバレーボールをやっていた。

部活のために学校に通っていると思うぐらい、部活漬けの毎日だった。

 

しかし、高校の夏合宿では、いつもサボることばかり考えていた。

練習前の‘アップ’が思いの外きつく、後の練習ができなくなるのだ。

足をつったり、過呼吸になったり、吐いてしまったり、気を失うことさえあった。

「こんな練習をしたってうまくなるはずがない。」

そう思った時、私も努力を惜しむようになっていた。

 

その後はまた気持ちを切り替えて練習に励み、なんとかレギュラーになることができた。

 

3年の夏、インターハイに通じる最後のトーナメント戦。

私たちは初戦で敗退した。

 

試合が終わった瞬間、自然に涙があふれた。

まだ整列も礼も終わってないのに、6人皆泣きじゃくっていた。ベンチも同じだった。

 

負けた悔しさもあったのかもしれない。

もうこんな辛い練習を続けなくていいのだとホッとしたのかもしれない。

今までがんばってきたこと・仲間との別れが寂しかったのかもしれない。

しかしなにより大きかったのは、やりとげた充実感だった。

 

練習は、うまくなるためにやるものだ。

しかしうまくなるためだけにやっていたわけではないのだ。

 

この時、私は初めてそのことを実感できたように思う。

 

言葉にすると、ひどく陳腐なものに思えてしまうのでここでは避けるが

中・高とバレーを続けてきたことは、事実、今の私を十分支えてくれている。





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