方丈便り 第17号 中学3年生 04・09・11(土) 発行者:橋本
過去から得られるもの
3年前の今日、世界を揺るがす大事件が起きた。
飛行機がビルに激突する瞬間の、あの衝撃的な映像を、君達もきっと記憶していることだろう。
アメリカ同時多発テロ。
「平和ボケ」と指摘されている日本人の意識も、この事件をきっかけに大きく変わったことだろう。
事実、あの日以来、日本でも世界のニュースを知る機会はずいぶん多くなったように思われる。
テレビなどで取り上げられる回数も時間も増えただろうし、何より私達の見る目が変わった。
現在アメリカは、「テロとの戦い」の名目で大規模な部隊をイラクに派遣し続けている。
その活動拠点の1つが、先日ヘリコプター墜落事故の起きた沖縄の米軍基地だ。
そして日本の自衛隊も、「復興支援」の名目でイラクに派遣されている。
更に最近では、ロシア南部、北オセチアの学校占拠事件や、
ジャカルタの豪州大使館前で発生した爆弾テロ事件など、
今なお、世界各地で深刻なテロが後を絶たない。
日本国内でも、軍隊の必要性の有無を含む、憲法改正の論議がなされ、
個人の危機管理意識の向上が強く訴えられている。
そんななか、世界貿易センタービルの崩落現場、通称「グラウンド・ゼロ」では、
昨日午後から、花束や写真、犠牲者の名前が書き込まれた星条旗、
詩を書いた紙などがたくさん飾られているそうだ。
9・11現在、現地ではしめやかに追悼式が行われていることだろう。
現在、外国との付き合いなしに、自国だけで成り立つ国はまずないといえるだろう。
日本はその最たる国で、その自給率は40%程度にとどまり、
エネルギー資源に至っては、その殆どを外国からの輸入に頼っている。
その輸入も、現在アメリカ軍の護衛抜きには実現しない(自衛隊は国外に出られない)。
日米関係では、貿易摩擦、在沖米軍・地位協定に関する問題や
北朝鮮問題(98年にテポドン1号が日本列島を超え三陸沖に落下・拉致・核)などが
大きく絡んでいる(99年に日米新ガイドライン成立)。
またエネルギー資源の問題では、中東の問題のみならず、
日本では、中国との国境問題(尖閣諸島)が、これから取り上げられることになるだろう。
またロシアとは北方領土、韓国とは竹島、とそれぞれ国境問題を抱えている。
世界のあらゆる出来事は独立したものではなく、さまざまな因果関係の中にある。
即ち、自らの行いを正せば朗報が得られ、行動を誤ればその報いを受ける。
これは身近な出来事でも、人間関係でも同じだ。
君達が今習っていることの1つ1つが、その「繋がり」に気づくためのヒントだ。
テストで良い点をとるための勉強も悪くはないが、物事の根本を理解する努力を忘れないで欲しい。